金沢市のシネモンドで上映されている能登杜氏の酒造りを追ったドキュメンタリー映画「一献の系譜」を観てきました。
登場する多くの杜氏さんと面識があるのでとても楽しみにしていました。
冬、酒造りの時分に酒蔵にいらっしゃる杜氏さんは皆さん険しいお顔をしてらして、ご挨拶しようにもなかなかお声を掛けられない雰囲気です。 私にしたら杜氏さんは怖い、というか畏れ多い存在です。映画の中でも声を荒げている場面がありました。
しかしびっくりしたのは、勿論わかってはいたのですが、杜氏さんたちは春になって酒造りが終わると能登で米を作ったり、船に乗って漁をしています。その表情は酒造りのときに見せる顔とは全く異なり、農家の顔、漁師の顔なんです。天狗舞の中杜氏が穏やかな表情でトラクターに乗っているのは本当にびっくりしました。宗玄の坂口杜氏が船に乗っているのは、いやはや海の男でした。
印象に残ったのは坂口杜氏の仰った「仕込みに入ったら酒と心中するつもりでいる」という言葉です。それくらい強い熱い思いで酒造りに対峙しているんだと。酒には魂が込められているんだと。杜氏の技を伝承していくのは大変だけど、美味しいお酒を作るのは機械の数値じゃなくやっぱり人なんだと思いました。
映画を観ている間中、お酒が飲みたくて、家に帰ったら誰のお酒を飲もうか考えてました。
飲みながら観たいです。
そんな企画があったらいいな。
一献の系譜